犬の乳歯遺残
ワンちゃんは生後半年になる前くらいから歯の生えかわりが始まり、1歳までには永久歯が生え揃います。 ところが小型犬はうまく乳歯が抜けずに残ってしまうことがあり、これを乳歯遺残といいます。
乳歯が残っていると歯並びが悪くなったり、永久歯と乳歯の間に汚れが溜まったりお口の健康に悪影響を及ぼすので1歳を過ぎても乳歯が残っているようなら抜歯する必要があります。
このワンちゃんは1歳2ヶ月のトイプードルで上下の犬歯4本が抜けずに残ってしまっています。
緑の矢印で指している歯が永久歯、黄色で指している細い歯が乳歯です。 永久歯と乳歯の間には既に歯石が付着し、歯肉(歯茎)も炎症を起こして赤くなっています。 このまま放っておくと歯周病が進行し、お口の痛みや口臭の原因となり、最終的には歯を失うことにもなってしまいます。
これは眼窩下神経という神経に局所麻酔薬を注射している(眼窩下神経ブロック)ところです。意外に思われるかもしれませんが、全身麻酔をしていても体や脳は痛みを感じています。親知らずを抜いたことがある方はわかると思いますが、歯を抜くというのは強い痛みが生じるため、通常の鎮痛薬の投与だけでは十分に痛みをコントロールすることができません。そのため、全身的な痛み止めと局所麻酔を併用して疼痛管理を行います。
下顎にも同様に局所麻酔(オトガイ神経ブロック)を行います。
続いて歯に付着した歯石を除去します。 歯を抜く際に歯茎を傷つけてしまうので細菌の塊である歯石を予め除去して、なるべくきれいな状態にしておきます。
最後に隣り合った永久歯に影響が出ないように気をつけて乳歯を抜歯します。 このように一言で乳歯抜歯と言っても全身麻酔、疼痛管理や感染症対策など気をつけるポイントがたくさんあります。1歳を過ぎても乳歯が残っている子はなるべく早めに病院までご相談ください。
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